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令和6年 九州ブロック年次大会の報告

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2024.11.02-03

今年の11/2・3で実施した九州ブロック年次大会について、福岡便教会から参加された泊先生、重岡先生が「便教会便り(特別号)」として報告くださった内容を転載させていただきます。

「令和6年度 日本を美しくする会九州ブロック年次大会(福岡大会)」が11/2・3日に福岡市で開催されました。
参加者は、県外から東京をはじめ静岡、岐阜、京都、熊本、宮崎、大分、日田、鹿児島、薩摩川内、佐世保など、福岡県内は福岡市・筑豊・糸島・筑後等各地から、延べ50名の参加がありました。この日は、大雨の影響で新幹線のダイヤが大きく乱れ、講師の先生方の到着が遅れるなどして、予定が変わったりずれたりしました。

1. 研修会と懇親会

11月2日(土)の15時~21時に、博多駅そばの会議場で、掃除道の研修会と懇親会が開かれました。

■講演「わたしの掃除道」…広島掃除に学ぶ会 先川 孝徳 様

先川さんは、広島県の警察官として、暴走族対策に長年あたっていらっしゃった方です。その頃の上司の竹内光弘さんに半ば強引にトイレ掃除に誘われ、参加したのがきっかけで始められたそうです。
その頃の広島県は、暴走族の被害がひどく、単に暴走行為だけでなく、ひったくりや恐喝等の犯罪も大変多く、頭を痛めてあったそうです。どんなに暴走行為を取り締まっても、きりのない状況で、毎日寝る時間以外は仕事に追われてあったそうです。そんな中で、「暴走族といっしょに公園のトイレを磨く」ということにいやいや参加した先川さんは、彼ら自身の変化や、彼らを見る周りの大人たちの変化に大変驚いたそうです。
特に先川さんらが力を入れて、トイレ掃除に来させたのは、「面倒見(めんどうみ)」という暴走族OB(暴力団予備軍)だったそうです。面倒見が、暴力団から上納金を求められ、後輩である暴走族に金を納めさせ、それを暴力団に納める。暴走族の子たちは、面倒見に納める金が必要なため、ひったくりや恐喝などの犯罪に手を染める…。そうして連鎖的に犯罪が起きていたからです。

参加した子たちも、最初は「特攻服を返してもらう」など、条件付きで参加していた子も多かったそうです。ですが、多くの子が、その犯罪の連鎖から抜け出したいと願っていたのではないかと、先川さんは推測されます。だから、トイレ掃除に参加し、心ある警察や地域の大人とつながり、それをきっかけに暴走行為や犯罪から手を引くことになっていったのではないかと。
ただ、そうした道のりは、非常に時間がかかり、きれいごとで済まされることばかりではなかったそうです。それは何度も強調されました。
最後に廣瀬さんから、「学校で、(便教会がやっているような)トイレ掃除がしにくく、苦しんでいる現状がありますが、打開策はありますか。」と質問が投げかけられました。先川さんは率直に「ありません。行動し続けるしかない(という意味のことだったと思います)」とおっしゃいました。犯罪の撲滅という不可能に挑んで、苦しみながら結果を出してきた先川さんの言葉が重く響きました。

2. 掃除実践

11月3日(日)の9:00~13:00に、福岡市立那珂中学校で掃除実践が開催されました。

福岡便教会の会員は開催市として協力依頼がありましたので、参加できる方でお手伝いをさせていただきました。
この日は、昨日と打って変わって、秋晴れのいい天気に恵まれました。朝7時30分に那珂中学校に集まり、駐車場係や受付係等のお手伝いをさせていただく中で、那珂中学校の環境整備にはとても感心させられました。まずは、正門周辺には落ち葉やごみ一つ落ちていないこと。さらには昇降口の靴箱の生徒上靴のかかとが見事にそろっていること、そして、廊下がピッカピカに掃除してあることなどが目につきます。これは、私だけが感じたことではなく、掃除実践に参加される方々が異口同音につぶやいてありました。
9時00分からの開会式では、「掃除に学ぶ会紹介ビデオの視聴、鎌田副ブロック長の挨拶を受け、「なぜトイレ掃除か」の唱和を全員で行いました。

その後、参加者47名が4つの班に分かれて掃除実践を行いました。掃除前のトイレを見ると、一見して綺麗な状態が保たれているように見えました。しかし、実際に掃除が始まり、近づいてよく見ると便器や手洗い場の水垢や水越の裏の尿石などが見られました。
参加者はベテランの方が大半を占めていたため、皆さん手際よく掃除に取り掛かり、約90分の掃除実践があっという間に終了しました。活動中は、各班のリーダーやサブリーダーの声掛けやアドバイス、適宜バケツの水換え等を行っていただき、スムーズに、しかも気持ちよく掃除活動ができました。

今回のトイレは、乾式トイレであったこともあり、参加者も慣れていないこともあり、トイレ掃除の五徳の一つにある「工夫」をしながら汚れに向き合いました。便器(陶器)や金具、床(クッションフロア)と、様々な素材をいかに傷つけない(傷めない)ように汚れを落とすかを工夫しながらの活動となりました。
特に汚れを落とすのにクエン酸や重曹はもちろんですが、新たに活躍したのが尿石や水垢などのアルカリ性の汚れには酸性の「ハルト」、それとカビや黒ずみなどの酸性の汚れにはアルカリ性の「スペースショット万能クリーナー」です。
利会長の実践や白鳥副会長や中尾先生の実践を見学しながら、その効果も確認できました。(福岡便教会も「スペースショット」「ハルト」の購入を検討しなければならないと感じました)

このように、汚れのついた素材を傷つけないように効率よく汚れを落とす工夫は、教育実践そのものだと思います。個性豊かな生徒たちを傷つけないように指導するためには、旧態依然の指導ではなく、その生徒に合った指導の仕方を工夫しなければならないと似ていると思います。是非、特に若い先生方にはこの体験を通して、生徒の健全育成に役立ててほしいと思いました。
掃除活動後は、準備していただいたお弁当を食べながら和やかに交流(情報交換)を行いました。他の地区の活動の様子や課題としていること、今後の活動などの情報交換ができました。その後、閉会式では、各班から2名ずつの感想をいただき、白鳥副会長からの総評を、主催者代表として中尾先生がお礼の言葉を述べられました。(中尾先生のお礼の言葉中に流された涙は、それまでのご苦労や思いがあふれていたと感じました)
2日目の掃除実践を通して、全国に同じ思いで掃除に取り組んである同志の方々の力をいただくことができ、有意義な大会になりました。主催していただいた、日本を美しくする会、掃除に学ぶ会の方々、そして、会場を提供していただきました那珂中学校(榊校長)には、見えないところでも大変ご協力いただいていたそうです。この場をお借りして感謝申し上げます。有難う御座いました。

筑豊掃除に学ぶ会     広瀬 透