認定NPO法人 日本を美しくする会
副会長 白鳥 宏明
昨年1月に中央教育審議会は、文科省の委託を受けて、今後の学校運営の在り方に対して答申を示しています。その中で私たちが一番危惧したことが、「学校掃除は必ずしも教師が担う必要のない業務」「地域ボランティアの参画や民間委託等も検討し、できる限り教師に行わせないように努める」と記されていることでした。しかし、その一方で「校内清掃指導を通じて児童生徒に勤労の意義や奉仕の精神、集団の一員としての自覚を深め、責任感を育成するとともに、児童生徒相互の触れ合いを深める点で有意義である」ということも書かれています。
これは“働き方改革”の一環から教師の負担を少しでも減らすために出されたものであります。一見相反する内容により誤解を生じやすく、私たちにとりましても混乱をきたしました。しかし、最終的には「校長が、その権限と責任を踏まえて対応する」ということでありますので、今後は、文部科学省とともに応援できる体制へとシフトしていきたいと思います。
今、教育現場では道徳の欠如が取り上げられる中で、2年前から正式に道徳授業が教科化されました。また法制化された“働き方改革”では、単に時間を短縮するという目先のことばかりでなく、長年の課題である「いじめや不登校」他の問題に対して道徳意識を高めていくことにより子供たちを育て、本来の教育に先生方が目を向けられる環境づくりが大切なことだと思います。
今までに掃除を通じて暴走族を解散に導いたり、荒れた学校を正常化へと向けてきた経験を活かしていこうではありませんか。
そこで日本を美しくする会としては、「道徳教育に掃除の活用を」という思いを共有しながら、鍵山相談役の心願である「掃除を通して心の荒みをなくし、世の中を良くする」という志を忘れずに一人からでも「掃除道」を続けていってほしいと願っています。
コロナ禍を活かし掃除で心を磨きつつ、足元(初心)を見直すチャンスにしていきましょう。