寺田一清先生を偲ぶ「泉州に会をつくってくれないか」
泉州掃除に学ぶ会 北川 伝吉
■期間 1998年9月20日~毎月一回、ほぼトイレ掃除
■学校掃除 273回 83校 (泉佐野市20、熊取町8、田尻町2、貝塚市16、泉南市8、阪南市8、岬町3、泉大津市1、岸和田市25)
■人数 延15,225人(8月現在)
実践人の家の元常務理事寺田一清先生は、3月31日にお亡くなりになりました。北川伝吉さん(66)は、寺田先生に掃除に学ぶ会をつくるよう頼まれ、1998年に会を立ち上げました。そして、泉州地域のほとんどの学校でトイレ掃除を行ってきて、その実績にはすばらしいものがあります。今年代表世話人を交代した北川さんに、寺田先生との思い出を中心に語ってもらいました。
泉州掃除に学ぶ会の発足
1998年春、「致知」で寺田先生を知り、講演をお願いしました。ご自宅に通ううちに「泉州に『掃除に学ぶ会』を作ってくれないか」と言われました。私は、「掃除なら毎朝やっています。わかりました」と引き受けました。
9月20日「泉州掃除に学ぶ会」発足。泉佐野市末広公園のトイレ掃除に「大阪掃除に学ぶ会」から指導に来られました。私は初めてで、つま先立ちの素足に素手で始めましたが、どろっとした尿石のついた水こしに腰が引けました。しかし、汚れが落ちるにつれて夢中になり、便器が真っ白になると自分の心が磨かれたような清々しい気持ちになりました。
これは、私の仕事のクリーニング業を越えていると思いました。そして、みながこの掃除を体験すれば地域は良くなるだろうと、興奮しました。
行松俶子校長先生に出逢う
当時学校に「トイレ掃除」をお願いに行っても、宗教と思われてか断られ続けました。公園で掃除を続けていると、地域の方に「ええ恰好するな。お前は嫌われてる」と妬まれました。
半年後、熊取町立北小学校の行松俶子校長先生にトイレ掃除を体験いただいたところ、先生は大変感動され、「一緒にがんばりましょう」と、地元の学校を説いて回って下さいました。それから毎月学校で例会ができるようになり、この23年間で、泉州のほぼすべての学校のトイレをお借りできるようになりました。
多くの感動の話
2006年7月、長坂小学校でのことです。PTAの方が二日酔いで来られたので心配していました。ところが、閉会式で女性先生が「毎朝駅のトイレを掃除している母の口癖は、『掃除は自分のためにするもので、人のためではない』でした。私は今日やってみて、初めてその意味が分かりました」と、泣かれました。すると、会場全体が感動に包まれ、二日酔いだった方も泣いていました。気持ちが通じたのです。なんて掃除はすごいのだろうと思いました。
貝塚第四中学校の津田ひとみさんは、トイレ掃除の感動を2006年「少年の主張」大阪大会で発表し、最優秀賞を受賞。この文章は、鍵山相談役が「致知」誌巻頭言で紹介し大変話題になりました。貝塚第四中学校は道徳のモデル校となりました。
泉佐野第三中学校では、田仲三夫先生が校風の立て直しをお手伝いされました。このように、トイレ掃除を行った多くの学校で、言い尽くせないほどの感動の話があります。
寺田先生の思い出
寺田先生作詩、行松校長先生作曲による「お掃除の歌」もできました。寺田先生に導かれて、掃除を23年間やってきました。
多くの学校でトイレ掃除をさせていただいて、たくさんの子どもや人々とご縁ができ、その思い出は私にとってかけがえのないものです。これも寺田先生のお陰と深く感謝しつつ、体の続く限り掃除を続けていきます。(590-0403大阪府泉南郡熊取町大久保中2-28-11)