イタリア通信(2)「掃除道」翻訳本の出版
イタリア マニセラ・ロサリオ
4冊出版しました。イタリア国内での反響を報告します。
個人および社会レベルの反応
鍵山さんの本に対して、イタリアの個人や社会は、非常にポジティブな反応を示しています。ブラジルとロシアのワールドカップでの日本人ファンによるスタジアム清掃の報道もあり、日本は清潔を愛することで知られています。鍵山さんの本は、この印象を裏付けました。
鍵山さんらとブレッシャの地区を掃除して帰った少女リナちゃん(9歳)は、父親に言いました。「お父さん、道端にタバコの吸い殻を捨ててはいけないよ。でないと日本の人がまた掃除しにイタリアに来なければならないよ…」
本のおかげで、掃除に対する感性が高まって、多くの人が家の周りを掃除し始めました。妻と私が毎週自宅周りを掃除していることも、他の人々に良い影響を与えていると思います。市が設置したゴミ箱にゴミを捨てに行く途中で、他人の捨てたゴミを拾う人がたくさんいます。
イタリア各地に多くの清掃ボランティアグループができ、環境・清掃ボランティア活動に関する多くのWebサイトができています。 (例 写真)
多くの自治体は、市民や学校の清掃の取り組みを奨励することを決定しました。「都市は私たちのものであり、私たちはその世話をしなければなりません」と。
「街路清掃の仕事で働いてお金をもらう作業者がいる」と言う人もいますが、誰もが清掃に敏感になっています。しかし、実行する必要があります。鍵山さんがおっしゃるように、「実践」を通してのみ変化が起こるのです。
人々が感動するのは、掃除についてだけではありません。鍵山氏は、本物の人間として、社会の一員として、生き方を教える「人生の教師」と考えられています。
公的および企業の反応
新聞、ラジオ、テレビ、ネットなどで出版本が取り上げられ、幅広い反響がありました。鍵山さんは何度かイタリアにおいでになりましたが、そのたびに、彼の教えや模範的な行動に大きな関心が寄せられました。
私も、本の出版以来、大学、起業家・経営者協会、市民団体などからインタビューや講演を依頼され、今も続いています。そしてそのたびに良い反応を得ています。ただ、素手によるトイレ掃除だけは、ある種の嫌悪感があるように感じています。残りのほとんどのことについては、メディア・企業とも、敬意を表して鍵山氏の本を受け入れました。
企業では、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)を組織的に実行します。マネージャーたちも、鍵山氏の考え方に非常に同意しています。しかし、社長みずから会社のトイレを掃除しているのを見たことはありません…。
特に、最初の本「一日一話」の出版社はこの本の出版に夢中になり、この本は全国に広まり、幅広い反響を呼んでいます。ネットで検索すれば、イタリアでの鍵山さんの本の幅広いエコーを知ることができます。
イタリアの出版社のコメント
日本の起業家鍵山秀三郎氏のイタリア語版の本は貴重な証言です。とりわけ今日の世界の重要な問題に対する賢明な答えであり、日本の思想・文化の知恵の「真珠」であり、日本の伝統的価値観について考える手がかりとなります。2014年5月のブレシア大学での講演で「掃除」が深められたことを嬉しく思います。東洋と西洋の間で創り出される価値観の交換と個人的な関係は、より深い相互理解と豊かさの基盤になります。(つづく)