イタリア通信(3)「ブルーフラッグ」を取った美化活動
「清潔なペスカーラ市を作るボランティア協会」(イタリア)会長 ラウラ・クリヴェッローニ
2015年、マニセラ氏が企画した日本旅行に参加した私の夫が帰国後、「日本を美しくする会」のことについて話してくれました。
私たちの住む中央イタリアのペスカーラ市はアドリア海に面し、自然に囲まれた美しいリゾート地で、夏には何千人もの人々がビーチで日光浴をします。
しかしその美しいビーチにもタバコの吸殻がいっぱいありました。私たちは、自分たちの街をより美しくしたいと話し合いました。マニセラさんが送ってくれた、鍵山秀三郎氏の『掃除道』の本を読み、2017年ボランティアによる市内の清掃を企画し、まず市政当事者と市民の意識を高めようとしました。
まずはタバコの吸殻
2018年以降、市民に問題を喚起しようと、ペスカーラの中学校と合意して、市内中心部の通りで吸殻拾いを何回か行いました。各回約50名の中学生が約2時間、この有害廃棄物約6千本を拾いました。2019年は約4千本拾い、2020年はコロナのために中止しました。学校は、教育のために子どもたちを参加させたかったのです。
2020年は、イタリアのすべての市長が参加するテレビ番組に、ペスカーラ市長カルロ・マシが応じ、市内全域で路上灰皿の数を増やすことにしました。既存の灰皿に加え、約千箇所に灰皿が追加設置されました。同時に、ポケット灰皿進呈付き「NO MOZZICONI A TERRA地面に吸殻禁止」キャンペーンにより、ペスカーラ海岸のすべてのショップや海水浴施設に、約5千個のポケット灰皿(写真右)を無料配布し、町中に多くのポスター(写真左)を掲示しました。
2021年も、新たに4千個のポケット灰皿がすべての海水浴施設に無料配布され、この小さいながらも貴重なポケット灰皿キャンペーンは、清潔で綺麗なペスカーラにしたいと願う住民に、熱狂的に歓迎されました。しかし、海と環境保護に貢献するこの品物を、タバコ屋で数ユーロで買えることを知っている喫煙者は、未だ少ないのです。
街を輝かせる活動
ペスカーラ市は、街を再び輝かせようと、ゴミ箱の恒常的な清掃と消毒、街路の清掃、ゴミの分別収集、そして2021年から海水浴施設用のゴミ集約所で廃棄物の分別収集を行っています。緑化にも多くのことが行われ、ロータリーは花であふれ、街の花壇は手入れが行き届き、剪定もタイミングよく行われています。
私はペスカーラに28年間住んでいますが、この街がこれほど手入れされたことは、今までにありません。
もちろん、まだ廃棄物の投棄、犬の排泄物の不収集などやるべきことは多くあります。これらへの意識づけや情報提供をすることに加えて、規則違反の行動に対しては、反則金の活用もあります。街中のポスター、環境教育のプロジェクト、さらに地方新聞の記事やラジオインタビューを通して活動を進めています。
「ブルーフラッグ」認証取得
2019年に発足した現行政のカルロ・マシ市長は、評議員チームや議員と協力して、街をより美しく、より清潔に、より居心地の良いものにするための施策に取りかかりました。
そして2021年、ペスカーラはこれまで強く望まれてきた「ブルーフラッグ」の海として公認されました。これは、ペスカーラ川への有害廃棄物の垂れ流しの削減、環境教育活動の展開、ビーチ清掃など、さまざまな活動のおかげで得た、大きな結果なのです。
【参考】 「ブルーフラッグビーチ」
1985年にフランスで誕生した世界で最も歴史ある環境認証の一つ。厳しい基準をクリアしたビーチに与えられ、これを受けたビーチは国際的に第一級と認められたことになる。日本では鎌倉由比ヶ浜、福井県若狭和田、神戸市須磨、千葉県山武市本須賀の4か所。(Wikipedia)