■日時 2023年3月1日19~20時
■参加 9名(オンライン)
(現代川柳)中川千都子、岡本ユウコ
(日本を美しくする会) 白鳥宏明、廣瀬公典、下正晴、川野士郎、佐藤誠、縄田良作、池永重彦(司会)
昨年3月発行の40号で「川柳こころの散歩道」がスタートし、これまでの5回のご投句数は251句、うち52句が入選作でした。
ご投句延べ人数は82名で、半数は「日本を美しくする会」、半数は本コーナーを受け持つ中川千都子さんが代表の季刊誌『現代川柳』のメンバーです。
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―『現代川柳』から中川さん、岡本さんのご参加があります。自己紹介をお願いします
【中川】
心理カウンセラー、産業カウンセラーの仕事をしています。学びでは、森信三教学を学ぶ「人間学塾・中之島」の代表を務め、また道頓堀でお掃除をしており、当会の賛助会員でもあります。川柳を始めたきっかけは、故時実新子先生との出会いです。人を揶揄する「サラリーマン川柳」ではない「文芸川柳」が本来の川柳なのですが、先生の作品に衝撃を受け、弟子にしていただきました。先生の志を後世に繋げるため、文芸川柳を継承する季刊誌『現代川柳』を、昨年再発刊しました。川柳普及のため、『清風掃々』との出会いに感謝しています。
【岡本】
大阪でダンスエクササイズの仕事をしています。中川さんの川柳講座の生徒です。宮城県の小畑貞雄さんと出会って「お掃除はすごい」と思い、日本を美しくする会の賛助会員になりました。毎朝鍵山先生の『一日一話』配信で、良い一日が切れています。
―初心者向けに、川柳の楽しみ方を教えていただけますか
【中川】
川柳は、感じたまま、自由自在に詠んでほしいです。少々大袈裟でもいいです。例えば、川野さんの句、「落ち葉掃きミミズ沢山ほっとする」(44号)は、ミミズがうごめいている状況を、「沢山」と表現されていますね。これを大袈裟にユーモラスに表現してみると、「落ち葉掃きミミズのダンスほっとする」。作者と小さなミミズとの間の命の呼応、その瞬間を言葉ですくい上げるのです。
岡本さんの入選作に、「あと何周グランド染めてゆく夕陽」(43号)があります。良い句は、映画のように情景が立ち昇ってきますね。情景だけでなく、風や香りまで感じます。川柳は五七五の世界一短い詩ですが、それだけの力があります。初心者はつい、五七五の中でできるだけ説明しようとしますが、膨らみに欠け面白くなくなります。逆に説明を省き過ぎると意味が分からなくなりますので、「何を詠みたいか」をつかむことが大切です。数をこなすと、慣れて来ます。
―俳句と川柳の違いは何ですか
【中川】
俳句は、花鳥風月、つまり自分の外側にあるものを主に詠みます。川柳は、自分の内側、思いを詠みます。俳句と違って、季語などの決め事は少なく、現代仮名遣いで表記し、方言も可です。破調もありますが、基本的には五、七、五で読むことぐらいです。
―思いを自在に詠むのですね
【中川】
掃除をされる方は、掃除に絡めて詠まれる傾向があるようです。お題が「ほうき」であれば、例えば「魔女のほうき」でも面白いでしょ。発想を自由に広げていくのが楽しいのです。恋を詠むも良し、哀しみ、悔しさ、嫉妬などのマイナス感情さえも良い作品になります。
川柳は写真に似ています。写真は一瞬の風景をとらえてシャッターを押します。川柳は日常の一瞬に心に留まったことを、言葉ですくい上げるのです。川柳していたら、ボケませんよ。
―分かりやすいお話でしたが、皆さんいかがでしょうか
【岡本】
川柳はおつきあい程度で始めたのですが、コツをつかんでからは楽しくなりました。筋トレと同じですね。日々思いを書き留めることから始まり、五七五でどう表現できるかと考え、言葉を選んで、削ぎ落して作品にします。自分の作品が活字になるのは、とても嬉しいです。
【下】
実は『現代川柳』を購読しています。上達には「数打ちゃ当たる」だろうと思っていますが、岡本さんが言われるように書き留める習慣が必要と思います。
【佐藤】
私は空手をしていますが、余計な動きを削ぎ落し中身を磨くところは、川柳と相通じると思いました。43号で入選した「亡き母の涙が滲む走り書き」は、母が亡くなった後、遺品整理をしていて、走り書きを見つけたときのものです。
【中川】
実感句と言われるものですね。素晴らしい句です。カメラのシャッターのように、そのときの心を言葉ですくい上げ、読み手にもエネルギーが伝わってきて、とても感動します。
―最後に、このコーナーへのご提案があればお願いいたします
【川野】
明治天皇は、生涯で9万3千首の御製があるそうです。毎日膨大な数を詠み続けられたところに、日本文化の奥深さを感じます。川柳も同じだろうと思います。提案ですが、ときどき応募数、人数を紹介していただければ、投句への励みになります。
【廣瀬】
ワンポイントアドバイスを増やしていただくのも良いと思います。また入選作にもコメントされてはどうでしょうか。
【白鳥】
今日初めて教わって、川柳は楽しいなと思いました。思いや心を詠むのは、「掃除に学ぶ」に通じますね。川柳を盛り上げていきましょう。
【縄田】
私はやや堅いところもあるので、こういう文化的素養も身につけたいと思いました。川柳を身近に感じてもらえるよう、座談会や愛好家との交流も企画したいですね。
【池永】
私もこのコーナーを担当して川柳を知りました。あまり構えずに、気楽に気持ちを詠むことでしょうか。読者にホッとしていただけるコーナーにしたいと思います。本日はありがとうございました。