トピックス

第11回ルーマニア掃除研修

千葉県 松尾 智子

■旅程と場所
10月9日 成田発ブカレストへ
10月10日 ブザウ市へ
市長面談、記者会見
10月11日 中学校で掃除研修
10月12日 工場見学ブカレストへ
10月13日 改善マネジャークラブ会議
10月14日 帰国
■出張者 利哲雄会長
松尾智子(日本企画)


 前回は2019年で、4年ぶりの訪問でした。今回は、現地で5S活動を推進しているコンサル会社Kaizen Institute代表のジュリアン・ブラトゥ氏の要請によるもので、目的はブザウ市での掃除並びに「掃除道」の広報です。
〇10・10 前日イスラエルの戦争勃発の影響で、飛行機のスケジュールが大幅に遅れ、イスタンブールでまさかの1泊でした。ブカレストに到着後、ブザウ市まで車で200㎞、約2時間走行。到着後市長と対談しました。
 ブザウ市はルーマニア南東部の主要な近代都市で、人口は約11万人。市長によると、5年前から掃除活動を行い、市の財政状況が大幅に改善され、今後も掃除を広めるために一緒に活動していきたいとの要望でした。
 対談後の記者会見では、利会長がDVD『掃除の道』を映写し、掃除道の説明を行いました。参加者は、素手でトイレを磨く姿を食い入るように観ていました。その後翌日の掃除現場を下見しました。
〇10・11 10時からの地元中学校での掃除研修には、教職員、生徒、市職員、KAIZEN関係者にブザウ市長含む、130名が参加。体育館で、ルーマニアの民族衣装を着た子どもたちが歓迎してくれました。彼らは、歓声を上げながら笑顔で元気よく掃除していました。
〇10・12 午前中日系ビール工場を見学し、5S活動の説明を受けました。ブカレスト市まで車で移動、18時ホテル着。夕食を取りながら翌日の打ち合わせをしていると、旧知のミレラさん、ロッタプリントのロッタ社長が現われ、久しぶりの再会を喜びました。
〇10・13 8時半から、「カイゼンマネジャークラブ会議」に出席し、改善について意見交換しました。在ルーマニア日本大使、マスコミも参加した盛大な会議でした。
 ブザウ市長とKAIZEN代表が、共同執筆本「行政改善」を紹介し、5Sの仕組みと成果を説明しました。利会長も登壇、日本を美しくする会のビデオを紹介。
 その後、利会長へのTV局のインタビューがありました。ルーマニアの5Sに対する関心の高さが伺えました。21時半空港離陸、帰路に…。

コメント
(利哲雄) ブザウ市長は、率先垂範でKAIZEN(5S)に取り組み、ジュリアン・ブラトゥ氏と著書も出し、KAIZENを高く評価されているようでした。財政も改善し、その結果、市長選の投票率が90%まで上昇、向かうところ敵なしの様子でした。KAIZENは、組織で取り組んで組織の業績を上げますが、「掃除道」は、自分の心を磨くことが目的でありその成果は分かりづらい、という説明をしましたが、理解されたかどうか。ただ、彼らは掃除の良さを伝えてくれていますので、今後も協力し合いたいと思います。
 円安による渡航費高騰、通訳、資料準備などが常に課題です。ルーマニアとは田中顧問の時代からの長いお付き合いですので、会として仕組みを考えていきたいです。イスラエルの戦争で予定がずれ、観光もほとんどない旅でした。
(松尾智子) 子どもたちと楽しんで掃除できました。彼らの将来にとって良い経験になってほしいと思います。現地の人に興味を持って迎えられたのが良かったです。

第25回奈良掃除に学ぶ会 年次大会

二階堂高校100回記念大会
奈良掃除に学ぶ会 羽根 康英

■日程
 10月14日(土) 18時~交流会
 10月15日(日) 8時半~12時半
■場所 掃除実習
 奈良県立二階堂高校(天理市)
■参加 計60名
 うち、在校生3、現教員10名、卒業生9、元先生4、他高校生2

 1996年設立の当会は、「奈良掃除に学ぶ会」(以後奈良の会と略す)、「なかよしの掃除に学ぶ会」(同2009、なかよしのの会)、「斑鳩中学校トイレ掃除に学ぶ会」(同2009、斑鳩中の会)の3団体で活動しています。奈良の会は、当初奈良市内の中学校で定例会を行っていましたが、定期異動により赴任された管理職の理解が得られず、定例会の開催が難しくなりました。

二階堂高校でのトイレ掃除
 警察官だった私は当時なかよしのの会を主宰しており、青少年健全育成で関わった県立大淀高校でトイレ掃除実習をしていました。
 2010年、奈良の会の中学校でのトイレ掃除に参加していた一人の教師が、「私が勤める二階堂高校を掃除の力で善くしたい」と、熱く想いを語られました。私は同校卒業生でもあり、なかよしのの会が引き受けようと決意したのです。
 早速二階堂高校にお願いに赴くと、以前大淀高校でお世話になった先生が赴任されており、校長先生はお掃除を重んじる僧侶で、快く受け入れてもらえました。
 2011年7月、二階堂高校のトイレ掃除が始まりました。3回目までは、生徒たちは騒がしく集中できませんでした。しかし、2人の先生を中心に回を重ねていくと、生徒たちも真剣に取り組むようになり、校長先生と教頭先生のご理解も深まり、充実した実践の場となっていきました。

二階堂高校トイレ掃除実習(2011年)


奈良の会の定例会場に
 さて、定例会場を探していた奈良の会。拠点を二階堂高校に移したいと校長にお願いすると快諾され、道具の保管に倉庫を貸して下さることになりました。早速倉庫を徹底的に掃除し、整理整頓すると、まるで別室になりました。それを見た教頭先生は「なんちゅう団体なんや」と驚嘆されました。
 こうして二階堂高校は、なかよしのの会の活動1年のあと、奈良の会の定例会場へ移行したのです。
 2012年7月15日、第1回定例会は18名の参加でした。第6回からは、大勢の生徒さんが参加するようになりました。
 2013年4月、第10回は、なかよしのの会の50回、斑鳩中の会の40回にあたり、各会の回数を合計して「定例会100回記念大会」を開催しました。参加者は100人を越え、そのときの光景や思い出は鮮明に想い出され、生徒たちの感動の涙は、今の活動の原動力となっています。
二階堂高校定例会100回
 当日は、校長先生の呼びかけで在校生3名と教職員10名が新たな志で集い、在学中にトイレ掃除を続けていた卒業生9名と当時の先生4名が駆けつけてくれ、総勢60名の実習となりました。
 閉会式では、トイレ掃除によって志が芽生えたなかよしのの会の仲間、「歌う天ぷら屋」の歌手翔也さんがミニコンサートを開催、感動を呼びました。
 12年前、一人の教師の熱い想いで始まった二階堂高校のトイレ掃除。その南和秀先生は、今大会の実行委員長です。今回は、そうした想いの詰まった感慨深い大会となりました。

(639-2164奈良県葛城市長尾282)

桐生を日本一美しい街にする会 第500回


群馬県桐生市 高柳 光雄

会の歴史と活動
 当会(一色秀志会長)は、2015年6月3日東武鉄道新桐生駅で第1回トイレ清掃を実施して発足。以来、毎週水曜日朝6時から、新桐生駅とJR桐生駅のトイレを1週交代で掃除しています。
 さらに2016年10月から毎月第1土曜日、西桐生駅前のトイレ掃除も始め、2017年3月通算100回、2023年8月2日に第500回を達成しました。
 これら3か所の駅のトイレ掃除の他、中央商店街、末広町商店街と連携して、ゴミ拾いなどもおこなってきました。そして、郷土を美しくする会と合同で、みどり市立笠懸東小学校や桐生市立境野小学校、菱小学校の6年生に「卒業記念トイレ掃除」も指導し、掃除の意義と実践を続ける大切さを、子どもたちに広めてきました。


街を元気にするにはまずきれいに
 桐生市は、江戸時代から絹織物の産地として栄え、「西の西陣・東の桐生」といわれるほど、経済的にも文化的にも県内有数の活況を呈していた街でした。
 当会発足のきっかけは、前野栄さんが、福島市から郷里の桐生市に戻ってきた際に、昔の活気を失っていた街並みに驚き、「街を元気にするにはまず街をきれいにすることから」と思い立ったのがはじまりです。前野さんは、1997年から隣のみどり市大間々町のわたらせ渓谷鉄道大間々駅のトイレ掃除を続けている「郷土を美しくする会」を知り、その活動に参加するようになりました。すでに桐生から大間々駅の掃除に参加していた仲間が、前野さんの熱い思いに共鳴し、「桐生を日本一美しい街にする会」を設立したのです。

500回を通過点として


 会員は約10名、毎回参加する中核メンバーは5名くらい。2年前に代表を継いだ一色秀志さん(43)は、前野さんらの活動を知り、意気に感じて入会したそうです。
 記念すべき第500回は新桐生駅でおこなわれ、現在長野県松本市に移住した初代会長の前野さんや、郷土を美しくする会の松﨑靖会長も参加しました。10名の参加者は黙々と便器を磨き、床の清掃に汗を流し、排水溝の蓋を開け、ブラシを使って汚れを落としていました。
 この日は一色会長の家族3人も参加し、長男の海璃君(写真)がお父さんに花束を渡すほほえましい光景に、大きな拍手が起きました。
 現在、全国の地方都市は人口減少、少子高齢化、地場産業の停滞など厳しい環境に置かれていますが、自分たちの住む街を元気にできるのは、そこに住んでいる人たちだけです。自分たちの住む街に、誇りと愛着を持って行動に移すことが何よりも大切です。
 会名「桐生を日本一美しい街にする会」には、前野さんや仲間の郷土への思いと決意が入っています。
 500回は通過点であり、初心に帰る節目でもあります。「節から芽が出る」の言葉通り、新たな気持ちで活動を続け、2025年の10周年を目指し、「継続は力なり」で毎週地道な活動を続けてまいります。
 会員募集中。興味のある方は、一色会長(080-5248-8070)まで。
 活動はfacebook「飯島英規」でご覧になれます。  (編集 松﨑 靖)