川柳こころの散歩道(9)

 このコーナーも回を重ねて9回目。
毎回ご投句くださる方は目に見えて上達されておられ頼もしい限り。投句未経験のあなたもぜひご参加くださいね。お待ちしています。

川柳ワンポイントアドバイス

 「何を省くか?」

△酔うほどにおでんのできを家人褒め  (高松市/杉本千春)
 情景の浮かぶ楽しい句です。お酒が回ってくると饒舌に、美味しいものがあればなおのこと。この句の肝となるのは、褒めて褒められ嬉しき人の集い。誰が褒めたかはここでは重要ではないので省いてみましょう。
○添削句 
酔うほどにおでんのできを褒められる
 褒めたのは家族? 友だち? 恋人?…読者の想像力にお任せするのも川柳の愉しみの一つなのです。

*お題「酔う」入選作

タイガース優勝に酔う夜が明ける
(東京都/川野士郎)
・酒にも勝利にも酔ったあの夜。お祭騒ぎは永遠と思いきや、何もなかったかのように静かな朝がやってきます。


演説にそろそろ酔ってきたところ
(草津市/宇野弘子)
・酔っているのは聴衆ではなく演説者の方?ちくりとアイロニーが利いた「川柳の眼」ですね。


酔うほどに壊れてしまうピラミッド 
(大阪市/釜田かな湖)
・最初は上司には敬語で接しながら飲んでいたはずが…。「今日は無礼講だよ」なんて言いながら、上司はしっかり翌日も記憶しています。


酔ってるかどうかを確かめる右目
(大阪市/川端日出夫)


千鳥足淋しさ隠す飲み屋街
(京都市/平 里彩)


酔いしれて狭間の世界行き来する

(高槻市/岡本 悠)


東京の楽しみ半ば人に酔う
(高松市/杉本千春)


酔うほどに寂しさ募る午前二時
(宝塚市/巽 郁子)

49号お題「難しい」(3/15締切)
50号お題「祝」(6/15締切)
s.f777.ikenaga@gmail.comまで。
ご一緒にLet’s川柳!
中川千都子(なかがわちづこ)
 心理カウンセラー、川柳作家。
 川柳専門誌『現代川柳』編集長