今号のお題は「祝」。今回は難しくて投句出来なかった…とのお声もいただきました。それでは皆様の作品を見てまいりましょう。
川柳ワンポイントアドバイス
「誇張する」
△毎日を祝いたくなる掃除道 (東京都/川野士郎)
川柳は誇張することで、作者の思いがより鮮明になります。「祝いたくなる」の表現は、いささか弱いので言い切ります。
○添削句
毎日を祝って歩む掃除道
言い切ることで、迷いなく凛としてこの道を行く作者の姿が立ち上ってきます。
*お題「祝」入選作 13名32句
オメデトウ声音にトゲが見え隠れ
(和泉市/野依佐千子)
・川柳の表記は、平仮名・カタカナ・漢字のどれを用いるかにより、作品の表情が変わります。この句は上五「オメデトウ」のカタカナ表記に言葉と裏腹の微妙な心理が表れていて秀逸です。
サプライズ似顔絵ケーキ笑い出す
(泉佐野市/古谷りり)
・「祝」の言葉がなくとも賑やかなお祝いの様子が思い浮かびます。「笑い出す」の主語がケーキとなり◎。
旅立ちにやっと親父と飲めた酒
(草津市/宇野弘子)
・旅立ちという別れを目前に、互いに心を開くことができた父子。言葉数はなくとも祝福の酒の旨さよ。
祝日の意味わからずも国旗挙げ
(東京都/川野士郎)
生きてきた証に祝電が届く
(大阪市/川端日出夫)
老夫婦ささやかなりしバースデー
(高松市/杉本千春)
記念日で空白埋めるスケジュール
(大阪市/釜田かな湖)
喜寿祝う窓から見える初日の出
(宝塚市/巽 郁子)
バースデーろうそく三つ口すぼめ
(高槻市/岡本 悠)
51号お題「歌」(9/15締切)
52号お題「犬」(12/15締切)
s.f777.ikenaga@gmail.comまで。
ご一緒にLet’s川柳!
中川千都子(なかがわちづこ)
心理カウンセラー、川柳作家。
川柳専門誌『現代川柳』編集長