犬と人の関わりの歴史は古く、なんと1万5千年前にはすでに人は犬を飼っていたとか。犬は人間の最も古い親友と言えそうですね。
川柳ワンポイントアドバイス
「意外性を突く」
△甘えたの犬から順に懐きだす (大阪市/川端日出夫)
「甘えたの犬」がすりすりと懐いてくるのは当然。川柳では予想できる当たり前ではなく、予想外のことを詠んでおもしろい。意外性を突いてみましょう。
○添削句
甘えたの犬から順に牙を剥く
原句とは意味が真逆。甘えてくるからと気を許していたら、思いがけず牙を剥いてくるとは。これは「犬」を詠んではいますが、人間の世界にもなぞらえてみることもできます。このように、川柳では表の言葉の意味とは別に、現実を暗喩する面白さもあるのです。
*お題「犬」入選作 14名40句
犬小屋の朽ちた木の板頭文字
(神戸市/吉田わこ)
・同じ体験のある人ならきっとほろりとなる句。主のいない犬小屋が悲しい。
負け犬の本気で望む志望校
(京都市/平 里彩)
・思わずエールを送りたくなります。負け犬の本気に勝る力はないはず。
犬と見る稜線上の初日の出
(泉佐野市/古谷りり)
・静かな幸せを詠う句。愛犬と無事新年を迎えた喜びが伝わります。
レトリバー大きな体すり寄せる
(東京都/川野士郎)
夫婦仲犬のおかげの我が家です
(高槻市/岡本 悠)
散歩する犬と似ている長い顔
(草津市/宇野弘子)
しっぽでね喜怒哀楽を気づいてよ
(松戸市/佐藤 誠)
二刀流犬の散歩とゴミ拾い
(仙台市/村上幸宏)
吠えまくる犬に尻尾を振っている
(大阪市/川端日出夫)
53号お題「土」(3/15締切)
54号お題「赤」(6/15締切)
s.f777.ikenaga@gmail.comまで。
ご一緒にLet’s川柳!
中川千都子(なかがわちづこ)
心理カウンセラー、川柳作家。
川柳専門誌『現代川柳』編集長